2024年8月9日
読むラジオ|はじまりの場所 ~ガーデニング樹木葬 えくぼの丘~
この記事はポッドキャスト「伊豆の国しょうれんじラジオ」2023年10月配信のエピソードの書き起こしとなります。音声版はこちらからお聞きいただけます。(リンク)
【話しているひと】
渡邉元浄(以下、住職)
遠藤卓也(以下、遠藤)※住職友人、各地のお寺に詳しい
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遠藤:元浄さん、こんにちは。
住職:こんにちは。よろしくお願いします。
遠藤:えくぼの丘1の第3区画が完成したそうですね。
住職:そうですね。「ちょうどいいお墓」と銘打っていますけれど。いわゆる石をたくさん積んだお墓ではなくて、コンパクトでお参りしやすいお墓を、3~4年前から樹木葬というかたちで進めています。
遠藤:見たことのない方にご説明すると、お庭型というか。
住職:ガーデニング型ですね。
遠藤:石のプレートにデザインできるという。
住職:自分でデザインできます。あるおばあさんが、「これ、孫が書いてくれたのよ。私、ここに入るのが楽しみでしょうがないの」と話してくださいました。
遠藤:プレートのサイズはどのくらいですか?
住職:45cm×45cmかな。どなたがどなたとでも入れます。ワンちゃんの肉球のデザインのプレートがあったり、かわいいですね。
遠藤:そんなえくぼの丘が大人気で、おかげさまでいっぱいに。
住職:第3区画がスタートしたというところです。来週も見学の方がいらっしゃいます。
遠藤:ご利用になっている方からの反応はありますか?
住職:「こういう場所があってよかった」「自分のラッキーナンバーが選べてよかった」という方もいらっしゃるし。「あら、近所の〇〇さんじゃない。お世話になったのよね」と、いろいろな方がいろいろな方のお墓に手を合わせたり。
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住職:お墓参りというと、お墓掃除がつきものですけれど。
遠藤:お掃除をしに行く、みたいなところもありますしね。
住職:昔ながらのお墓は、お掃除も大変ですよね。夏場はひと仕事だと思います。それに比べて、えくぼのにわは30秒もあればお掃除が終わるのではないでしょうか。プレート1枚なのでコンパクトですし。ある方に、「今まで1時間以上かかっていたお墓掃除が、こちらに移ってきてすぐに終わっちゃってつまらん」と言われました(笑)。物たりないって。それはそれでいい時間だったのでしょうね。時間をかけてお掃除しながら、お墓でその人を想うということも大事だと思います。
遠藤:亡き方のことを想って。
住職:そのご主人が、「住職、だから俺は右から左まで全部磨いてきたよ」と。いろいろな方の名前や亡くなった日付をみて、「みんな大変だったんだなぁ」と感じたと話してくださいました。お掃除の時間が短くなったことで、他の人のお墓をお掃除する、というのも利他的でいいなと思います。見学される方にも、「ここはみんなで喜ぶえくぼの丘です」とお話しします。園から子どもたちの声が聴こえる、というのも魅力のひとつです。
住職:えくぼの丘は、造園屋さんと一緒に、「直線じゃなく、流線型がいいね」「落葉樹を植えると冬は葉がないけれど、春の芽吹きの喜びを表せるよね」と話しながら作りました。他の霊園さんのように、四六時中花があるというお墓ではなく、お花のない時期も作っています。冬は春を待つ季節、ということばがある通り、冬は冬らしく春を待って喜ぶ。子どもたちも遊びに来るお墓ですから、そういうことも大事にしたいですし、造花ではなく生花を植えて、枯れたお花も見せたいなと思います。
遠藤:「はすのさと」という正蓮寺の墓地全体が、既存のお墓のイメージとは違う、どこか明るくて寂しくない印象があります。
住職:お墓で終わっていない、はじまりの場所と言いますか。そういうことを僕自身も思ってますし、伝えていますね。
遠藤:はじまりの場所。
住職:お墓は、私たち生きている人間にとってゴールじゃないよ、と。
住職:最近、納骨をする機会がたびたびありまして。納骨は、家族や親戚や子どもたちなど多くの方が目の当たりにしますから、お墓は誰のためにあるのか、ということをよく話します。
先日、海法龍(かいほうりゅう)さんが著された『誰のために葬儀を勤めるのか』という本を読んだとき、お墓は誰のためにあるのか、という一節がありました。僕の好きなことばなので、掲示板にも貼って、はがき通信でも送りました。すこし読んでみますね。
お墓は誰のためにあるかというと、
死者のために、
生者のために、
未来の人のために、
私のために、
人間が人間であるためにあるのです
このことばを、納骨で見えた皆さまにご紹介しています。亡くなった人のためにお墓に集まるけれど、この場所は私たちのためにある。それは「〇〇家のため」ではなく、お墓自体が、人間を人間たらしめるものなんだということを、たしかめとしてお話します。
お墓参りが終わって背を向けて帰るときに、お墓から「頑張れよ」「行ってらっしゃい」「またね」と、そういうことばを聴いてほしいと思いますね。同時に、私自身もお墓に入ったら、お墓に来てくれた人にそう言いたいなと。
遠藤:今回は正蓮寺のお墓を紹介させていただきました。
住職:お庭のようなお墓ですから、これから綺麗な花で彩られると思います。よかったら遊びに来てください。
遠藤:ありがとうございました。
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書き起こし:小関優 https://yuukoseki.com
音声版(ポッドキャスト):
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- えくぼの丘:正蓮寺のガーデニング樹木葬(https://youtu.be/ZAqZPAiYbr4?si=nmRtBjt7Kbq9aEuG) ↩︎