読むラジオ

2025年8月22日

読むラジオ|100年前のメッセージ『君たちへ』

この記事はポッドキャスト「伊豆の国しょうれんじラジオ」2023年8月配信のエピソードの書き起こしとなります。音声版はYouTubeにてお聞きいただけます。(リンク

【話しているひと】
渡邉元浄(以下、住職)
遠藤卓也(以下、遠藤)※お寺の相談役、各地のお寺に詳しい

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遠藤:元浄さん、こんにちは。

住職:こんにちは。

遠藤:今日も正蓮寺で収録しています。ハスの花はいかがですか?

住職:今年はたくさん咲きました。インスタグラムの投稿が追いつかないほど。赤、白、そして、斑入りの天竺斑蓮(てんじくまだらはす)。天竺斑蓮は気に入っていまして、5年ほど前は1つでしたが、今は8つくらいに増えました。

朝5時からいらしている方もいたり、大勢の方が見に来てくださって、大変にぎやかな雰囲気を醸しだすことができました。

遠藤:今日も晴れて、ハスの緑と青空があざやかですね。

住職:コントラストがね、入道雲と。

遠藤:夏!という感じですね。夏休みですし。

住職:昔からすると夏休みも短くなりましたね。ラジオ体操も夏休みの最初と最後の1週間ずつになり、さらに今年は暑いこともあって最初と最後の3日間だけになってしまって。これでは規則正しい生活を送れないなと思い、娘と毎朝6時半からラジオ体操をしています。

遠藤:早起き、いいですね。

住職:5時半頃に起きて、お仏飯を炊きます。ハスの花を眺めながらラジオ体操をしている間に、お仏飯が炊きあがります。

*お仏飯:仏さまにお供えするごはん

遠藤:昔ながらの夏休みの過ごし方という感じがします。

住職:ラジオ体操が終わると、僕は境内のお掃除をしながら周りの様子を見て、7時15分頃からまた娘と2人で朝のおつとめをします。

遠藤:正蓮寺の朝のおつとめはどんな感じですか?

住職:親鸞聖人の「正信偈」をおつとめして、お仏飯をお供えして。最近は娘と一緒に、ある本を輪読しています。

遠藤:輪読?

住職:そう、お経を子ども向けに和訳した『真宗児童聖典』という本が(2023年)6月に出まして。これがね、もうばっちり。これ以上ない!

*真宗児童聖典 | 東本願寺出版 (higashihonganji-shuppan.jp)

遠藤:どんな本なのか簡単に教えてください。

住職:浄土真宗には『真宗聖典』という、浄土真宗が大事にするお経や親鸞聖人のことばをまとめた分厚い本があり、お坊さんはそれを根本聖典として持ち歩いて勉強します。とにかく、「聖典をひらけ、聖典をひらけ」と言われるんですね。

今回出たのは『真宗児童聖典』という子ども向けの聖典でして、1924年~26年にかけて真宗大谷派社会課機関誌の『児童と宗教』に連載された「真宗児童聖典私考」をもとに書籍化したものです。つまり、100年前に、子どもたち向けに「正信偈」のこころやいろいろなお経を語り直したものを、さらに現代の子どもたちに伝わりやすいよう引き継いだのですね。これがちょうど5年生になる娘にフィットしていると言いますか、私自身も宗派は子ども向けにどのようにメッセージを伝えられるのだろうと、ことばの言いまわしなどが気になっていたのでちょうどいいなと思っています。

遠藤:先ほど本を開かせてもらったんですけれども。

住職:気になるところはありましたか?

遠藤:やっぱり、「君たちへ」という最初に掲載されていることばですね。

住職:これはしびれましたね。

遠藤:子ども向けとは言え、私たち大人にも響いてきますよね。「君たちへ」の「君」には、自分も含まれているなと思い、思わず涙がでてしまうような…そんなことばでした。

住職:じつは、『真宗児童聖典』が届いたあと、すぐに次の法事で紹介したんです。

「『真宗児童聖典』という本に、みなさんにぜひお伝えしたいメッセージがあります。どうぞみなさん、みなさんにとって大事な人を思い描いていただき、その方から届けられたメッセージだと思って聞いてください」と。そうしましたら、みなさん感動してくださって。法事が終わったあと、「「表紙を撮らせてもらっていいですか?」「どこで買えますか?」と、そんなふうに言ってくださったんですね。法事に参列された一般の方が『聖典』に興味を持ってくださるのは感動的でした。

遠藤:では、「君たちへ」を読んでいただけますか?みなさん、知りたいと思いますので。

住職:はい。出版元に許可を得ましたのでご紹介します。

君たちへ

君は明日どのようなことに出会うのだろうか
君はどんな友だちと出会うのだろうか
君はつらく悲しいことにも出会うかもしれない
立ちはだかるカベがあれば、懸命に挑戦するのもいい
つらければ泣けばいい
つらいなみだは、君のこころを浄化し、温めてくれるだろう
悲しみは、君をやさしくしてくれるだろう
出口のないトンネルで迷子になるかもしれない
ときには、損をし、傷つくこともあるかもしれない
負けて傷つく君が素敵なときもある
いつか、星と星が線で結ばれ星座になるかもしれない
すべてのことが、いつの日か「無駄ではなかった」といえたらいい
ほんの少しの勇気を小さなポケットに入れて行こうじゃないか
君には「こころのふるさと」があるじゃないか
「目には見えない世界」を大切にしてほしい
そして『真宗児童聖典』と共に歩んでほしい

※引用:『真宗児童聖典』(東本願寺出版)より

遠藤:ありがとうございます。

住職:「負けて傷つく君が素敵なときもある」ということばは、思わずお寺の掲示板に書いてしまいました。『真宗児童聖典』の試し読みのQRコードも一緒に付けて。

遠藤:道行く人が気になったら、QRコードで読めるのはいいですね。

住職:『真宗児童聖典』の発刊は大きなプロジェクトだったろうなと思います。宗祖親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶賛法要記念事業のひとつとして、プロジェクトを完遂されたお歴々のみなさまには、本当に感謝と言いますか、感動しています。そして、『真宗児童聖典』を多くの人に読んでもらいたいなと思います。

遠藤:私も「正信偈」の文字を読みながらお唱えはしますけれど、意味はよくわからずに発声しているので…、これを読むと発声していることばが出てきたりして。

住職:登場人物の紹介から始まるのもいいです。実在の人物はこの人ですよ、お話に登場する仏さまや菩薩さまはこちらの方々ですよ、阿弥陀さまはこういう仏さまですよ、と。

遠藤:わかりやすいですね。

住職:イラストもありますし。娘との輪読は「正信偈」が終わり、今は「観無量寿経」を少しずつ読み進めています。長いお経ですけれど、ハスのお話も出てきまして。

遠藤:仏教のことを知りたいとき、お寺に集まって読んだり、感想をシェアし合うのもいいですね。

住職:そうですね、『真宗児童聖典』はネットで購入できます。東本願寺出版で検索してみてください(https://books.higashihonganji.or.jp/item/IbtocN01801.html)。

遠藤:今日は大切な本を紹介していただき、ありがとうございました。

住職:ありがとうございました。


書き起こし:小関優 https://yuukoseki.com

音声版(ポッドキャスト):